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整形外科

Orthopedics

関節リウマチ

関節リウマチは「早期発見・早期治療」により、寛解が期待できる時代へと進歩しました。当院では最新の治療ガイドラインに基づき、薬物療法・生物学的治療・リハビリテーション治療などを駆使し、積極的にリウマチの治療に取り組んでいます。

原因

関節リウマチの原因はまだ完全には解明されていませんが、自己免疫疾患の一つで免疫の働きに異常が生じたために起こると考えられます。関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されて関節の機能が損なわれ、放っておくと関節が変形してしまう病気です。最近の研究では、関節破壊は発症後の早期から進行することが明らかになりました。発症のサインを知って早期発見し、適切な治療を行えば、症状をコントロールして関節破壊が進行するのを防ぐことができます。

病態

症状

関節リウマチの症状には関節症状と関節以外の症状があります。

●関節痛・腫れ

関節リウマチの症状が起こりやすい部位は手指のつけ根にある中手指節関節や、指先から二番目にある近位指節関節です。また、足指・手首・肘・膝といった関節にも、数週間から数ヵ月かけて徐々に痛みと腫れが起こります。触れると熱感があることもあります。

痛みを感じるのは、始めの方は1〜2ヶ所程度の関節なのですが、時間が経つにつれて左右の同じ関節が痛みだします。関節痛は改善したり悪化したりを繰り返しながら慢性化していきますが、中には数ヵ月程度で完全に治ってしまうケースもあります。関節の腫れと痛みは天候に影響を受けることが多く、暖かく晴れた気候が続く時は症状が軽くなり、反対に天気が崩れだす前や雨天時、寒い日などには症状がひどくなります。夏でも冷房の風が直接関節にあたることで関節痛が強くなります。

関節が腫れる原因は複数のことが考えられますが、特に関節を包んでいる部分に炎症が起きたり、関節液が貯まることで起きます。また、変形が進むとそれが腫れのように見えることもあります。


●こわばり

朝起きた時や昼寝の後など、長時間同じ姿勢で座り続けていた後、関節を動かしにくいようなこわばりを感じます。朝起きたときに最も強く感じやすいため、「朝のこわばり」と呼ばれます。

●軟骨や骨の破壊・変形・拘縮

症状が進行すると関節の骨や軟骨が破壊されて関節の変形が起こり、関節を動かせる範囲が狭くなります。また、手指が小指側に曲がる尺側偏位、足の親指が外側に曲がる外反母趾、膝や肘が十分に伸ばせなくなる屈曲拘縮なども見られるようになります。

診断

●リウマチはどうやって調べる?

2010年に米国および欧州リウマチ学会(EULAR)が合同で発表した新しい分類(診断)基準に基づいて診断します。この基準では、少なくとも1つ以上の関節で腫れを伴う炎症(滑膜炎)がみられ、その原因として関節リウマチ以外の病気がみとめられない場合に、①症状がある関節の数、②リウマトイド因子(RF)または抗CCP抗体、③CRPまたは赤沈、④症状が続いている期間の4項目についてのそれぞれの点数を合計して6点以上であれば関節リウマチと診断し、抗リウマチ薬による治療を開始します。

●リウマチの検査

血液検査
尿検査
X線検査
MRI検査
関節リウマチの治療で重要なことは、関節の破壊を進行させないようにすることです。そのためには各種検査で症状の変化をいち早く見つけて早期に適切な治療を始めなければなりません。

治療

●リウマチの治療

“リウマチの主な症状は関節の腫れと痛み”

関節リウマチの治療の目的は「寛解(かんかい)」。つまり、リウマチの症状・兆候がほとんど消失し、病気をコントロールできている状態を目指します。

1
関節の痛みや
腫れをとること
2
骨・関節破壊の
進行を抑えること
3
生活機能(QOL)
を改善すること

そのためには症状や進み具合に合わせて薬物療法、リハビリテーション、装具療法、時として手術を行います。

①薬物療法

進歩する薬物治療

近年、関節リウマチの治療は飛躍的に進歩しており、特に、「抗リウマチ薬」や「生物学的製剤」は治療効果が高く、関節の痛みや腫れを抑制するとともに、新たに発生する関節の破壊を予防できる効果が認められています。

抗リウマチ薬

抗リウマチ薬は関節リウマチの原因である免疫の異常に作用して、病気の進行を抑える働きがあります。関節リウマチは発症から2年以内に関節の破壊が最も急速に進行します。そのため、早い段階から抗リウマチ薬を使用し、関節の破壊を予防します。効果が出るまでに1ヵ月から半年くらいはかかるため、消炎鎮痛薬を併用することもあります。効果が不十分な場合には複数の抗リウマチ薬を併用したり、他の抗リウマチ薬に切り替えたりすることがあります。

サイトカイン阻害薬・生物学的製剤

関節リウマチの炎症は「炎症性サイトカイン」という物質が引き起こします。元来、炎症性サイトカインという物質は体内に侵入してきた細菌やウィルスを攻撃するための武器ですが、関節リウマチではその武器が自分の関節の渇膜に向けられます。そこで、サイトカイン阻害薬は炎症性サイトカインだけを狙って、その働きを妨げ、関節破壊が進行するのを抑えます。

補助的に使用される薬剤

●非ステロイド性消炎鎮痛剤/炎症を抑えて痛みや腫れを緩和します
●ステロイド薬/免疫異常の抑制や炎症を鎮静させ、痛みや腫れを緩和します

②リハビリテーション

■ポイントは関節に負担をかけずに、しっかりと運動を行う「運動療法」

関節に痛みがあると関節を動かすことが億劫になり、これを繰り返すといざ動かそうとしても関節は動かなくなってしまいます。特に関節の伸びが悪くなり、体全体がうずくまったようになってきます。したがって、傷んだ関節を修復させるためには運動が必要です。ただし、関節運動負荷が過度になると関節の破壊は進行してしまうので、関節疲労や痛みが残らない程度の運動量でなければなりません。当院では専門知識を持った理学療法士がお一人おひとりの症状を分析し、運動プログラムをご提案します。

大切なことは、いち早く病気を見つけて治療を開始すること。
関節リウマチは現在も明確な原因は分かっておらず、現時点では根本的治療法は見つかっていません。しかし、抗リウマチ薬や生物学的製剤を積極的に使用することによって、寛解を導ける時代へと進歩しました。関節リウマチではいち早く病気を見つけて治療を開始することが病気の進行を遅らせる最善の手段とされています。
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