イボ・しこり・できもの
●イボ(尋常性疣贅)じんじょうせいゆうぜい
ヒトパピローマウイルスが小さな傷などから感染してイボを作ります。顔面や首、指などに生じるイボは、固く表面がざらついた突起状になることが多く、足の裏などの場合はイボが体重で圧迫されてざらついた扁平な面状になったり、多発して敷石状に密集することもあります。治療は液体窒素冷凍凝固療法、あるいは炭酸ガスレーザー治療です。前者はマイナス196度の液体窒素を綿棒に含ませてイボに押しあて、イボの組織にダメージを与えて除去する方法で、主に皮膚科で保険治療として行われますが、イボが無くなるまで1〜2週に1回の治療を繰り返し行う必要があり、大きなイボになると治療回数も増えます。一方、炭酸ガスレーザー治療は、自費治療となりますが、1回の治療で取れてしまうことが多いのが特長です。

●老人性イボ(脂漏性角化症)しろうせいかくかしょう
成人後、シミの一部が加齢とともに隆起する茶色~黒褐色の良性腫瘍です。治療はイボ(尋常性疣贅)と同じように液体窒素療法(保険治療)を行う医療機関(主に皮膚科)も多く見受けますが、シミとして残ることが多く、より綺麗に治療したい場合にはレーザーによる治療(自費治療)がおすすめです。ただし、他の類似腫瘍と鑑別する(病理検査をして見分ける)必要性が高いと判断する場合は切除が必要ですので、自己判断でイボと思い込まず、大きくなるようなら是非、専門医にご相談ください。

●水イボ(伝染性軟属腫)でんせんせいなんぞくしゅ
ポックスウイルスが原因でこのウイルスに対する免疫を獲得すれば自然に治癒しますが、数ヵ月から1年以上を要することが多く、その間に水イボが多発してかゆみを伴い、引っ掻いてさらに広がる様なら水イボをつまみ取る治療を行います。当院では麻酔テープを使用し、少ない痛みで治療します。

●首のイボ(アクロコルドン)
20代から首や脇に小さなイボが出来始め、年齢とともに徐々に数が増えてくる良性腫瘍の一種です。中高年になると少し大きくなったり、黒ずんでくるものが増え、襟のあいた服を着た時に首元に見えて気になりだす方が増えてきます。これらのイボが生じる原因はわかりませんが、首以外にもまぶたや太ももの付け根などの皮膚が薄くて弱い部分に見られることが多く、衣類で擦れて炎症を生じ、チクチクするという方も多くいらっしゃいます。治療法は、イボと同じように液体窒素療法(保険治療)を行うことも可能ですが、シミが残ることもあり、また、無数に生じている場合には治療期間が長くかかることが欠点です。より綺麗に治療したい場合は、レーザーによる治療(自費治療)がおすすめです。また、レーザー治療の場合は無数に生じている場合にも、1〜2回の治療で全てを除去することが可能なので、首元などの見える部分をツルッとした美肌に戻すことが可能です。

「おでき」や「できもの」と一般的に称されるものは、 皮膚にできるしこりや赤く腫れて盛り上がった状態を表現するものです。
その中で最も多いのは、「粉瘤(ふんりゅう)」です。
粉瘤とは、角質をつくる細胞でできた袋が皮膚の中に生じ、徐々に袋の中に角質がたまって大きくなっていく腫瘍です。多くは何の症状もないまま、徐々に大きくなっていきますが、擦れたり圧迫したり、気になっていじったりする刺激によって赤く腫れて化膿することがあります。
炎症が軽度の場合には消毒と抗生物質の服薬とで治りますが、炎症が進んで膿が溜まると薬の効きも悪く、痛みや腫れも強くなり、切開して溜まった膿を出す処置まで必要になることも少なくありません。この際、可能な限り、生じた袋や袋の中身(溜まった角質の成分)まで除去した方が炎症も早く治まります。ですが、この処置によって完全に腫瘍を摘出できることは少なく、多くは再発します。一方、粉瘤が小さく、何の症状もないうちに手術で摘出すれば傷は小さくて済み、再発も来たしません。

単なる「しこり」で済ませず、正しい診断を受けましょう。
