ケガ
整形外科を専門とする医療機関が全国に普及した現代においても、骨折をした際、一般外科や、さらには整骨院を受診する方がまだまだ数多く見受けられます。整骨院でしばらく治療した後に「念のために、病院でレントゲンを撮ってもらってください」と言われて初めて整形外科を受診したり、逆に、せっかく整形外科を受診したにもかかわらず、ギプス固定の必要性を説明すると、固定を嫌って整骨院を受診する方もいます。
骨折は初期段階における対応が重要です。初期段階において適切な固定をしなかったために、骨がつくまでに長期間を要したり(骨癒合が遷延する)、骨がつかなくなったり(骨癒合不全)、骨が変形したり(変形治癒)することが生じかねません。レントゲン検査がない整骨院やレントゲンは撮れても骨を専門としていない一般外科での治療は、受傷した現地に整形外科が見当たらない場合の応急処置のみを前提として受診することをお勧めします。
また、骨折すると激しい痛みと運動制限が生じると思い込んでいる方が少なくありませんが、骨折の部位や骨折のタイプによっては、我慢できる程度の痛みのことも多いので、捻挫や突き指程度と思っても、気になればすぐに整形外科を受診しましょう。
当院は、外傷センターでトレーニングを受けた専門医が正しい位置に骨を戻して外固定(ギプス固定、シーネ固定など)を行います。もし、手術が必要な骨折と判断する場合は責任を持って提携病院を紹介しますので安心してご相談ください。また、 骨がついた後もギプスや術後の固定によって筋肉が萎縮し、関節も硬くなっているので、元の状態に回復するためにはリハビリが欠かせません。できるだけ早期にリハビリを開始して筋肉の萎縮や関節の拘縮を最小限にとどめることが重要です。この場合も骨癒合の状態を確認しながら、医師・理学療法士のもとで慎重に、かつ積極的に行うことが求められます。
「捻挫をしても、レントゲン上、骨折を認めない」と告げると、多くの方が安堵します。しかし、捻挫は関節を固定する靭帯が損傷していることが多く、その場合、骨折と同程度に治癒までの期間を要し、この間、適切に固定を行わなければ靭帯の修復は不完全になり、疼痛が長期間続くことになります。また、関節の不安定性が残存してしまった場合、その後、経年的に関節の老化(劣化)が進行する可能性が生じます。「たかが、捻挫」と油断せずに、整形外科を受診することをお勧めします。当院では必要に応じてMRI検査も行い、正確な診断を行い、年齢、職業、スポーツなどを考慮して、一人一人のご要望も伺いながら、治療目標を定めた上で、ギプス固定やテーピングなどの治療法を選別します。
軽度の打撲であれば、多くの場合、受傷部を安静・冷却(アイシング)・圧迫するで治癒することが期待できますが、骨折が隠れていることもあるため、安易な自己判断は注意が必要です。また、打撲後の皮下血腫(いわゆる、たんこぶ)も放置すると長期間にわたり残存することがあるので、初期の段階での適切な圧迫処置が重要になることもあります。当院は、頭蓋・顔面を専門とする形成外科と体幹・四肢を専門とする整形外科の両面から診察・治療を行いますので、全身のどの部位を受傷しても安心してご相談ください。